「選挙目当て」の政策が乱舞する ⓒ時事

 4年ぶりの総選挙が公示された。10月31日に投開票される。左派野党は多くの小選挙区で選挙協力し候補者を一本化、与党対野党の「政権選択選挙」である点を強調して選挙戦に臨んでいる。受けて立つ自民党は、菅義偉前首相では選挙は戦えないと、総裁選で岸田文雄氏を選び、岸田内閣が発足するや、その評価が定まらないうちに解散・総選挙を急いだ。

 政権選択選挙となれば、本来は政策の違いで投票先を決めることになる。世論調査では、多くの有権者の関心事は「経済・財政政策」にある。ところが、与野党が主張する経済政策を聞いていても、なかなか違いがはっきりして来ない。野党も与党も、給付金の支給や積極的な財政出動など、国民の耳に心地良い政策ばかりを声高に訴えている。本当にその政策が実現できるのか、財源などを考えるとどう考えても難しいが、増税など国民に痛みを求める政策はどの党も語らない。日本経済が直面している困難は、そんな「綺麗事」では乗り切れないのは明らかだが、どの政党も「夢物語」のような美しい話しかしない。

「マニフェスト選挙」の理想は影を潜め……

 選挙前はそんなものだ、という向きも多いだろう。だが、そんな有権者を欺くようなやり方で議席を獲得し、選挙時の発言とは違う政策を4年間にわたって実行されるのが、民主主義と言えるのか。

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