今は塀の向こう……香港の友人たちを思う

執筆者:阿古智子2021年12月14日
彼らは声を奪われた(2019年8月に行われた逃亡犯条例改正への反対デモ)(C)EPA=時事

 

次々に解散させられた市民団体

 1年前にはまだインターネットや電話で話ができた少なからぬ友人が、今は塀の向こうにいるか、塀の外にいても声を出せない状況に追い込まれている。

 日本でよく知られている周庭(アグネス・チョウ)は無許可集会を扇動した罪で約7カ月にわたって刑務所に収監され、6月12日に出所した。

 現在は日本のメディアの問い合わせにも応じず、友人たちとも距離を置いて静かに身を潜めている。国家安全維持法(国安法)で起訴される可能性も残ると言われる中、存在を示すことさえリスクになるからだ。

 この1年で、香港ではどれだけの数の市民団体が解散に追い込まれただろうか。

 天安門事件の追悼集会を毎年主催してきた「香港市民支援愛国民主運動聯合会」(支聯会)、民主派労働組合を束ね、14万5000人以上の会員数を誇っていた香港職工会連盟(職工盟)(1990年設立)、民主派最大の教員労働組合で約9万5000人の教員が加入していた香港教育専業人員協会(1973年設立)、一貫して「平和、理性、非暴力」を掲げ、逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモを主催してきた民間人権陣線(民陣)も解散した。

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