北京は香港民主派をどうしたいのか――「強硬な弾圧」と「不出馬非難」の不可解な態度

執筆者:倉田徹 2021年10月1日
タグ: 香港 中国
エリア: アジア
中国共産党100周年を受けて香港市内に掲げられた中国国旗と香港特別行政区の旗(C)時事
 国安法の制定以来、香港の民主派を強硬に弾圧してきた中国政府だが、選挙への出馬を制限する一方で不出馬を咎める矛盾した態度を見せている。12月の立法会選挙を前に、民主派は中央政府の真意を測りかねている。

 

 中国政府が「香港国家安全維持法(国安法)」を制定して1年あまり、民主派に対する攻撃はどこまで拡大するのか予想がつかない。9月19日に行われた選挙委員会選挙では、民主派からの当選がゼロとなった。

 しかし、これほどの弾圧と排除の一方で、北京寄りの香港政界人は民主派に対し、選挙に出馬するよう脅しに近い言葉も使って促している。

 一体北京は香港の民主派をどうしたいのだろうか。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
倉田徹(くらたとおる) 立教大学法学部政治学科教授。専門は現代中国・香港政治。1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。香港日本国総領事館専門調査員、日本学術振興会特別研究員、金沢大学人間社会学域国際学類准教授を経て、2013年から現職。 主な著書にサントリー学芸賞を受賞した『中国返還後の香港――「小さな冷戦」と一国二制度の展開』(名古屋大学出版会、2009年)、『香港 中国と向き合う自由都市』 (共著、岩波書店、2015年)、『香港の過去・現在・未来 東アジアのフロンティア』(勉誠出版、2019年)、『香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ』(社会評論社、2019年)、『香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ』(東京外国語大学出版会、2019年)。
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