香港に迫る「静かな政変」:李家超・行政長官誕生の意味

執筆者:倉田徹 2022年5月11日
タグ: 香港 中国
エリア: アジア
林鄭月娥氏から行政長官ポストを引き継いだ李家超氏(C)EPA=時事
香港の行政長官選挙が行われ、その座が林鄭月娥から李家超へと移った。なぜ林鄭月娥は突如、不出馬を表明し、なぜ後任は李家超だったのか。香港に「静かな政変」が迫っている。

 

 4月4日、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官は、次の行政長官選挙に出馬しないことを表明した。投票日は5月8日に迫り、すでに立候補受付が開始されていたタイミングでの突然の表明であった。

 出馬すれば再選間違いなしと目されていた現職の政府トップが、選挙公示後に突如出馬しないと表明したら――通常であればこれは「政変」であり、ここから予想される展開は候補者の乱立や組織の右往左往といった選挙ショウのヒートアップである。しかし、そうした事態は一切起きなかった。5月8日、林鄭月娥の下で政府ナンバー2の政務長官を務めていた李家超(ジョン・リー)が、99%を超える得票率で当選を果たしたのである。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
倉田徹 立教大学法学部政治学科教授。専門は現代中国・香港政治。1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。香港日本国総領事館専門調査員、日本学術振興会特別研究員、金沢大学人間社会学域国際学類准教授を経て、2013年から現職。 主な著書にサントリー学芸賞を受賞した『中国返還後の香港――「小さな冷戦」と一国二制度の展開』(名古屋大学出版会、2009年)、『香港 中国と向き合う自由都市』 (共著、岩波書店、2015年)、『香港の過去・現在・未来 東アジアのフロンティア』(勉誠出版、2019年)、『香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ』(社会評論社、2019年)、『香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ』(東京外国語大学出版会、2019年)。
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