【ブックハンティング】「フィールドワーク」で迫る香港社会の「実相」

阿古智子『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)

執筆者:吉岡桂子 2021年1月26日
タグ: 香港
エリア: アジア

 英国から中国へ返還されて20年あまりが過ぎた香港で、中国の強権的な支配によって自由な空間が細り続けている。香港国家安全維持法(国安法)の施行直後から、目の当たりにする民主派の大規模な逮捕は、「一国二制度」のもと50年にわたって約束されたはずの「高度な自治」がうち捨てられたことを示す。

闘うべきは「体制がもたらす矛盾」

評者曰く、この本は筆者が「香港に入り、『五感』を揺さぶられながら歩いた魂の記録」だという

 『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)の著者である阿古智子氏は、1990年代後半から2001年までの5年間、香港で学んで教育学の博士号を取得し、研究者の道に進んだ。不安と同時に、植民地を脱することへの高揚とほのかな希望が寄せられていた時代である。

カテゴリ: カルチャー 政治 社会
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執筆者プロフィール
吉岡桂子 1964年岡山県生まれ。87年岡山大学を卒業し、山陽放送にアナウンサーとして入る。89年に朝日新聞社に記者として移る。東京・大阪で経済取材を経て、99年に中国で語学研修以降、(北京・上海)特派員、バンコク拠点の編集委員などとして中国問題の取材を続ける。現在は在京編集委員。著書に『人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢』(小学館)『問答有用 中国改革派19人に聞く』(岩波書店)『愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション)』(朝日新聞出版)。共著に『日中関係史 1972~2012Ⅲ社会・文化』(東京大学出版会)『中国リベラリズムの政治空間』(勉誠出版)など。
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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

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