来年7月の参院選では自身も改選期を迎える  ©︎時事

 在りし日の野村克也監督が試合の後、番記者たちに囲まれてよく口にしたのは、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という、元は肥前平戸藩主・松浦清山の言葉である。

 今秋の衆議院選挙を一例にすれば、投票日当日まで敗色濃厚とされていた自民党が、なぜか絶対安定多数の261議席を確保したことは、まさに「不思議の勝ち」だったに違いない。一方、共産党との調整で候補者一本化に成功し、政権交代の足場を作るはずが、結果的に14議席も減らしてしまった野党第一党の立憲民主党は思わぬ敗北を喫したことになる。なぜ完敗したのか。代表戦に勝利して新しい顔となった泉健太代表(47)の率いる立憲民主党の党内では今、改めて「負けに不思議の負けなし」の敗因と戦犯が取り沙汰されているという。

 辛くも勝ち残った立憲民主党の中堅議員が解説する。

「一般的には、共産党との候補者調整を行ったことがマイナスに働いたという分析です。しかし、実は、前回も前々回も、選挙の時には候補者調整が行われてきました。では、前回や前々回の時と何が違ったのかというと、大々的に候補者調整をオープンにやってしまったこと。これまでは選挙区ごとにそれぞれの事情を勘案しながら、時間をかけて地味な交渉が水面下で行われていたのです。しかし、今回は執行部がそういう地道な作業を怠っていたために、調整が選挙に間に合わなくなってしまった。その結果、政権交代した場合の限定的な閣外からの協力という共産党との合意に踏みこまざるを得なかった。共産党とのタッグが実態以上に強調されることにつながったのです」

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