1月19日、ホワイトハウスで会見するバイデン大統領。時ならぬ“失言”が波紋を広げた ©︎AFP=時事

   1月24日、アメリカ国防総省は米軍8500人の東欧への増派を準備していることを明らかにした。米国内で派遣に備えて「待機」させていて最終的な決定はまだだとしている。基本的には東欧諸国を安心させるためだとしつつも、「そのほかのあらゆる事態にも備える」としていて、ロシアのウクライナ侵攻への対処も含まれる可能性を示唆した。米ロの軍事衝突の可能性が出てきたということだ。

   昨年12月8日にジョー・バイデン米大統領は米軍の派遣は検討していない、とあっさりと否定している。ロシアを刺激するのを恐れて軍事的な抑止力を早々に放棄したことには「弱腰であり、かえって事態を危険にする」という批判の声が上がっていた。今回の発表は派遣しないという政策を転換したことになる。

   しかし「待機」とするなど、依然としてバイデン政権の「弱さ」を払拭するものではない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が今回、強硬な対応を続けているのも、このバイデン政権の「弱さ」と無関係ではないだろう。バイデン政権の高官の多くは2014年にロシアが一方的にクリミアを併合した時と同じ顔ぶれなのだ。そして今回、ロシアが作り出した緊張を緩和するために、アメリカは何らかの見返りを与えようとしている。

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