施政方針演説に臨む岸田首相(新潮社)

 

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の遅れが目立ち、岸田文雄内閣のアキレス腱となり始めている。ペースは欧州などと比べて10分の1程度の低水準にとどまり、感染力の強いオミクロン株の感染爆発に対応できていない。接種間隔の前倒しに慎重だった厚生労働省に判断を丸投げしていたことや、堀内詔子ワクチン担当相の動きの鈍さが仇になり、好調だった内閣支持率にも陰りが見え始めている。

岸田首相の苦し紛れの答弁

「2回目接種との間隔を空けなければいけない。こうした事情の中で、いよいよ今、本格的に第3回目の接種がスタートする。1日100万回という目標を掲げてしっかりと進めていく」

 岸田首相は2月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の小川淳也政調会長から3回目接種の遅れを批判され、苦し紛れにこう釈明した。

 同日公表時点で、国内で3回目接種を受けた人は全体の5.9%にとどまり、英国(55.9%)や韓国(54.4%)、ドイツ(54.1%)などとの大差が目立つ。

 小川氏は予算委で、昨年11月に3回目接種の薬事承認が「2回目から6カ月間隔」という条件で認められたにも拘わらず、政府は「8カ月間隔」という当初方針をしばらく変えなかったと指摘。欧米はオミクロン株の流行を受け、3回目接種の間隔短縮や開始時期の前倒しなどを迅速に進めたが、日本政府は能動的に動かなかったと批判した。

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