パキスタンの新首相に就いたシャバーズ・シャリフ氏(C) EPA=時事


 年に一度、日の出から日没までの飲食を禁じるイスラム教の「断食月(ラマダン)」が続くパキスタンの国会で4月10日、クリケットの英雄として国民的人気を誇り、首相の座に上り詰めたイムラン・カーン氏(69)に対する不信任案が可決された。インフレや通貨ルピー安、外貨の枯渇、製造業の不振に加え、国民に不人気な国際通貨基金(IMF)主導の経済改革などで人心が離反、コロナ禍やウクライナ危機がダメ押しとなった格好だ。

 カーン氏は首相の座を失い、約3年7カ月続いたパキスタン正義運動(PTI)率いる政権が崩壊。国会での投票によって、最大野党のリーダーだったシャバーズ・シャリフ氏(70)が新首相に選出され、経済危機や対米関係の悪化に直面するパキスタンの立て直しに全力を挙げることになる。

パキスタン史上初めて不信任案で失脚

 1992年のクリケットW杯でパキスタン代表チームを世界一に導いたカーン氏は、選手引退後の1996年に自らPTIを結党。長らく弱小政党の地位に甘んじたが、経済の不振や既存政党への不信感を背景に2018年7月の総選挙で第1党となり、少数政党との連立政権を発足させた。

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