パキスタン新首相 繰り返してはいけない「先輩たち」の失敗

執筆者:緒方麻也 2022年4月15日
カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
エリア: アジア
パキスタンの新首相に就いたシャバーズ・シャリフ氏(C) EPA=時事
パキスタンで元クリケット・スターのカーン首相が失脚し、野党リーダーのシャバーズ・シャリフ氏が新首相に就任した。3度首相を務めたナワズ・シャリフ氏の弟だ。カーン氏と兄ナワズ氏というカリスマ、剛腕政治家2人の轍を踏まずに安定した政権を築けるか。


 年に一度、日の出から日没までの飲食を禁じるイスラム教の「断食月(ラマダン)」が続くパキスタンの国会で4月10日、クリケットの英雄として国民的人気を誇り、首相の座に上り詰めたイムラン・カーン氏(69)に対する不信任案が可決された。インフレや通貨ルピー安、外貨の枯渇、製造業の不振に加え、国民に不人気な国際通貨基金(IMF)主導の経済改革などで人心が離反、コロナ禍やウクライナ危機がダメ押しとなった格好だ。

 カーン氏は首相の座を失い、約3年7カ月続いたパキスタン正義運動(PTI)率いる政権が崩壊。国会での投票によって、最大野党のリーダーだったシャバーズ・シャリフ氏(70)が新首相に選出され、経済危機や対米関係の悪化に直面するパキスタンの立て直しに全力を挙げることになる。

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執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
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