プラユット政権に待ち受ける難関とは(C)EPA=時事

 

 タイでは「政治の風」が吹き始めた。

 第一関門であるプラユット・チャンオチャ政権主要11閣僚に対する不信任審議は4日間続き、7月22日の採決で退けたはしたものの、与野党僅差状況が解消されたわけではない。プラユット政権の政権基盤は脆弱なままであり、タイ政治の不透明な状況は依然として続く。

 第一関門を越えたプラユット政権ではあるが、その前途には首相在任期問題と、2019年3月総選挙から4年が過ぎたことで待ったなしに迫る総選挙という2つの難関が待ち構えている。

 この2つの難関にどのように立ち向かうのか。政局が混乱した場合、国軍は2014年以来8年ぶりのクーデターを発動するかもしれない。

 それだけではない。「王国」としてのタイの根幹を支え、歴代憲法が掲げる「国王を元首とする民主主義制度」を担保してきた政治構造に微妙な変化が兆しつつあることを考え合わせると、これまでとは色合いの異なる政治風景が出現する可能性も想定しておくべきだろう。

プラユット首相は在任期間延長か

 プラユット首相は2014年のクーデター後の同年8月25日に正式に首相に就任して以来、8月末で在職期間が8年を超える。同クーデター後に施行された現行憲法が示す「首相在職期間は上限8年」との既定に従うなら、首相任期は余すところ1カ月余に過ぎない。任期延長の可否に関し憲法裁判所は8月の早い段階で判断を下すとも報じられているが、現職首相が失職するという異常事態の発生を危惧する声もある。

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