最高人民会議で施政演説を行う金正恩国務委員長(党総書記)(『労働新聞』HPより)

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は9月8日の最高人民会議第14期第7回会議で施政演説を行い、国際社会が求める非核化には応じないと言明した。そして同会議は、核兵器の使用条件などを含む法令「核戦力政策について」を採択した。

 北朝鮮はこの施政演説と法令により、当面は米国のジョー・バイデン政権との米朝対話も、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権との南北対話もないことを明確にした。第8回党大会で決定した“国家核武力の全面的な高度化”に邁進し、経済制裁などに抗して自力更生路線を歩み続けることを内外に宣言したのだった。

3カ月ぶりの弾道ミサイル発射

 そして、北朝鮮は9月25日午前6時53分ごろ、北西部平安北道泰川付近から日本海へ向けて短距離弾道ミサイル1発を発射した。北朝鮮が弾道ミサイルの発射をしたのは、6月5日に4カ所からそれぞれ2発ずつの弾道ミサイル計8発を撃って以来だ。

 米韓両軍は9月26日から29日まで、日本海で米原子力空母「ロナルド・レーガン」も参加して大規模な合同軍事訓練を行う予定で、今回の北朝鮮のミサイル発射は、この米韓合同訓練に反発した動きとみられた。米海軍横須賀基地を拠点とする「ロナルド・レーガン」は、9月23日には釜山港に入港していた。米空母が韓国の作戦区域で米韓合同訓練を行うのは、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を行って「国家核武力が完成した」とした2017年11月以来、約5年ぶりだ。北朝鮮は8月の米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」に対しては軍事的な動きは控え、最高人民会議で核戦力政策を法制化することで反撃に出たが、今回は具体的な動きに出た。

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