北朝鮮で存在感を増す経済官僚「金徳訓首相」

執筆者:平井久志2022年10月1日
9月9日、建国記念日の祝賀行事を鑑賞する金徳訓首相(右)は、金正恩党総書記(中央)・李雪主夫人(左)と同じテーブルについている(『労働新聞』HPより)

 北朝鮮は9月7、8日に行われた最高人民会議の議題に「組織(人事)問題」を挙げていたことから、人事特に国務委員会の人事が行われるのではないかとみられていたが、その見通しは外れ、最高人民会議の小規模人事が行われただけだった。

最高人民会議常任委員も外れた金英哲

 会議では、最高人民会議常任委員会委員だった金英哲(キム・ヨンチョル)党政治局員(前党統一宣戦部長)が解任され、李善権(リ・ソングォン)党統一宣戦部長が新たに委員に選出された。また最高人民会議法制委員会委員長に朴寿日(パク・スイル)社会安全相、同委員にチャ・ミョンナム呉秀容(オ・スヨン)両氏が、最高人民会議予算委員長には全(チョン)ヒョンチョル党経済部長、委員にキム・ユンシルファン・マンボクの両氏が補選された。

 注目されたのは、6月の党中央委員会総会で党統一戦線部長を解任された金英哲氏の処遇であった。最高人民会議の第1日目の会議では、金英哲氏の序列は、党政治局員である朴(パク)チョングン副首相と党政治局員候補である趙春龍(チョ・チュンリョン)党軍需工業部長の間で報じられた。5月20日に発表された玄哲海(ヒョン・チョレ)人民軍元帥の国家葬儀委員会の序列では、金才龍(キム・ジェリョン)党組織部長(党政治局員、当時)と鄭京択(チョン・ギョンテク)国家保衛相(党政治局員、当時)の間で報じられており、序列は明らかに低下した。

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