北朝鮮で存在感を増す経済官僚「金徳訓首相」

執筆者:平井久志 2022年10月1日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
9月9日、建国記念日の祝賀行事を鑑賞する金徳訓首相(右)は、金正恩党総書記(中央)・李雪主夫人(左)と同じテーブルについている(『労働新聞』HPより)
最高人民会議での人事は小規模なものに終わったが、目立つのは金徳訓首相をはじめとする経済官僚の重用だ。さらに金正恩党総書記の“秘書役”をこなす新たな女性の存在も注目されている。

 北朝鮮は9月7、8日に行われた最高人民会議の議題に「組織(人事)問題」を挙げていたことから、人事特に国務委員会の人事が行われるのではないかとみられていたが、その見通しは外れ、最高人民会議の小規模人事が行われただけだった。

最高人民会議常任委員も外れた金英哲

 会議では、最高人民会議常任委員会委員だった金英哲(キム・ヨンチョル)党政治局員(前党統一宣戦部長)が解任され、李善権(リ・ソングォン)党統一宣戦部長が新たに委員に選出された。また最高人民会議法制委員会委員長に朴寿日(パク・スイル)社会安全相、同委員にチャ・ミョンナム呉秀容(オ・スヨン)両氏が、最高人民会議予算委員長には全(チョン)ヒョンチョル党経済部長、委員にキム・ユンシルファン・マンボクの両氏が補選された。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛 社会
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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