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 企業の解散価値を表す「PBR1倍」。その水準を下回る上場企業の多さが話題を集めている。TOPIX全体でもPBRは約1.2倍でほぼ解散価値の水準だ。なぜこれほどまでに「割安」になっているのか。そして日本株は買いなのか。

東証が「低PBR対策」に動き出した

「今回の市場再編が上場会社の企業価値向上へ寄与することを目的としていることを踏まえれば、全上場会社の約半数がPBR1倍割れの状況にメスを入れない限り意味がなく、その改善に向けて、一歩踏み込んだことを行うことができるかどうかが重要」
「継続的にPBRが1倍を割れている(中略)会社に対しては、改善に向けた方針や具体的な取組などの開示を求めていくべき」

 これは、東京証券取引所の「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」が発表した資料からの抜粋だ。東証のPBR1倍割れ企業に強く改善を求めていく姿勢が感じられる。このニュースは市場で大きな話題を呼んでいる。そもそもPBRとは何かを含めて、投資家目線でこの問題を考えてみたい。

 

 PBRとは、上記の計算式で計算される。今現在の株価が、その企業の1株あたりの純資産に対して何倍まで買われているかを表す。企業が市場で評価されている価値の合計である時価総額(株価×発行済株式数)と、その企業が保有している純資産(総資産から負債を引いた金額)を比較する指標だ。そして、普段は時価総額と純資産をそれぞれ1株あたりの数字に置き換えて、「株価÷1株あたりの純資産」の形でPBRは使われている。

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