フランス出身のラガルドECB総裁は弁護士としてアメリカの法曹界で頭角を現した後、政界に転じた[2023年2月15日、フランス東部ストラスブール](C)AFP=時事

「リーマンブラザーズがリーマンシスターズであったら、(リーマンショックから始まった)グローバル金融危機は起こらなかっただろう」――クリスティーヌ・ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁のIMF(国際通貨基金)専務理事時代の発言であり、経済界での女性の登用を促す名言として広く知られている。

   そしてまさしく「リーマンシスターズの時代」が実現した今、米国のシリコンバレーバンク破綻に端を発した金融不安が、欧州最大級の銀行クレディ・スイスのUBSによる吸収合併に繋がり、グローバル金融危機の再来が云々される事態になった。本稿では国際金融界が「女性主導」になった経緯を振り返り、今後を展望する。

金融史上に名を残す人材

 ラガルドの発言が引き金となったかのように、その後の国際金融界には続々と女性のトップが誕生した。しかもそのいずれもが、金融史上に名を残すような稀有な人材であった。

■ラガルドECB総裁

「リーマンシスターズ」発言の当事者、ラガルド自身がそうした人材の筆頭であろう。彼女はフランス出身だが弁護士としてアメリカの法曹界で頭角を現した後政界に転じ、フランス初の女性財務大臣からIMF初の女性専務理事を経て、ECB初の女性総裁という華麗なキャリアを歩んできた。

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