IMF――岐路に立つ国際社会の「最後の貸手」

執筆者:吉國眞一 2022年9月12日
エリア: その他
ウクライナのゼレンスキー大統領(右端)らとビデオ会議に臨むゲオルギエヴァIMF専務理事(スクリーン上)。IMFは3月に14億米ドルのウクライナ緊急支援を行なった[2022年5月16日](C)AFP=時事
破産寸前の国が現れると脚光を浴びるIMFは、皮肉な役回りを背負っている。1990年代のアジア通貨危機では「ワシントン・コンセンサス」を要求して韓国などから反発を呼び、2007年以降のグローバル金融危機、ユーロ危機で融資残高が急増し、今またコロナ禍とロシア・ウクライナ戦争でその影響力を強めている。ドル本位制に代わるポスト「ブレトンウッズ2」を遥かに視界に収めながら、国際社会の「最後の貸手」はどこに向かおうとしているのだろうか。

 新型コロナウイルス感染症とロシア・ウクライナ戦争で、世界経済の先行きにかつてない暗雲が漂っている。そのなかで、各国政府、中央銀行と共に岐路に立たされているのが国際機関である。本稿では国際機関のうち経済分野で最も影響力の大きいIMF(国際通貨基金)についてこれまでの歩みを振り返り、今後を展望する。

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カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
吉國眞一(よしくにしんいち) 1973年一橋大学卒業後、日本銀行入行。国際通貨基金(IMF)へ出向。国際局次長、ロンドン駐在参事等を歴任。2001年国際決済銀行(BIS)入行、アジア太平洋総代表等歴任。06年帰国後みずほ証券顧問、金融広報中央委員会会長を経て、21年カーボンニュートラル推進協議会理事。
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