今月3日、経済産業省は国内の半導体産業の売り上げを、2030年に現在のおよそ3倍にあたる15兆円に拡大するという目標を発表した。背景には、国内8社の出資で設立した半導体製造企業ラピダスや、台湾積体電路製造(TSMC)熊本工場の稼働による、国内の半導体産業拡大への期待がある。

   米国では、昨年8月に半導体の生産や研究開発に巨額の補助金を投じる、予算総額2800億ドル(約36兆9544億円)の「CHIPS・科学法」が成立した。一方で、先月21日に米商務省が補助金を受け取る企業の審査プロセスに「国家安全保障条項(ガードレール条項)」を追加し、中国、ロシア、イラン、北朝鮮で共同研究や生産の拡大を行う企業に規制の網をかけている。

「指導者は時として経済的繁栄より印象を取る」

――『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』では、蔡英文総統が台湾の半導体産業は「世界的なサプライ・チェーンを破壊しようとする独裁政権の攻撃的な試みから台湾を守る『シリコンの盾』である」と発言したことを、「ひどく楽観的な認識」と評しています。TSMCを中心とした台湾の半導体産業の地政学的リスクをどう見ていますか?

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