半導体「CHIPS法」に米国で語られる「産業政策上の死角」

執筆者:ブルース・ストークス(Bruce Stokes) 2022年9月14日
エリア: 北米
インテルは「ロビー活動から懇願、“ゆすり”まであらゆる手を尽くした」とも[オハイオ州ニューオルバニー近郊でインテル半導体工場の起工式に臨んだゲルシンガー・インテルCEOとバイデン大統領=9月9日](C)AFP=時事
ロビー活動にも莫大な資金が投じられたCHIPS法には、国家安全保障の意識に偏り産業政策の観点が欠けている。製造拠点の国内回帰に一部で成果も出ているが、バイデン政権の唱える雇用拡大効果は「誇張」と低評価だ。同盟国・友好国にとっての懸念は、これがアメリカによる“先端半導体の囲い込み”の始まりなのかという点だろう。

アメリカ製のシェアは12%に減少

   アメリカでは長年、半導体をめぐる問題が深刻さを増している。もともと半導体は1959年にアメリカ人によって発明され、その後何年にもわたりアメリカが半導体製造において世界トップを走っていた。ところが、日本やそれに続く韓国、台湾が、次第にアメリカの生産量を凌駕するようになった。半導体製造の世界シェアを見ると、1990年にはアメリカ製が37%を占めていたが、今では12%にまで減少しており、さらに先端半導体については90%がアメリカ以外の国、ほとんどがアジアで製造されている。

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カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
ブルース・ストークス(Bruce Stokes) ジャーマン・マーシャル財団客員シニア・フェロー/英・王立国際問題研究所アソシエイト・フェロー。「ナショナル・ジャーナル」誌特派員、外交問題評議会上級フェローなどを歴任、1997年にはクリントン政権「Commission on United States-Pacific Trade and Investment Policy」のメンバーとして最終報告「Building American Prosperity in the 21st Century」を執筆している。2012年から2019年にかけてはピュー・リサーチ・センターで国際経済世論調査部ディレクターを務め、多岐にわたる項目について日本人の意識調査を実施した。
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