日本国内では押しも押されもせぬ「勝ち組」だが……[日立製作所の入社式であいさつする小島啓二社長(壇上)=2023年4月3日、東京都新宿区](C)時事

 金融偏重型のコングロマリットだった“ウェルチ・モデル”の米ゼネラル・エレクトリック(GE)が凋落した後、世界の重電産業の覇権をどこが握るのか――。2023年も暮れようとしている現在、ポストGEの「本命」といわれる独シーメンスに対し、日本勢では日立製作所が勢いを増している。

 国内重電3社のうち、東芝はアクティビスト(物言う株主)との闘いの挙げ句に上場廃止に追い込まれ、三菱重工業は国産ジェット機「MSJ」の開発失敗以後沈滞ムードが拭えない。一方で日立はグループ構造の転換を進め、2023年3月期に6491億円の連結純利益を上げ、3期連続で最高益を更新した。今年8月末には株価が35年ぶりに上場来高値を更新。「改革を有言実行できる唯一の日本企業」(アジア系外国人投資家)と評判は上々だ。

 だが、日立の高評価はライバルの躓きや低迷、さらに為替動向などで水増しされている感が拭えない。10月27日の第2四半期(4〜9月期)決算発表時に日立は、通期(2024年3月期)の売上高が従来予想を3500億円上回り、純利益は200億円上振れする見通しを明らかにした。しかし、数字の中身を精査すると、売上高の上方修正幅の7割弱、EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)の約6割が「円安の影響」なのである。

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