社長交代でも危うい「三菱重工業」の「老害」履歴

執筆者:安西巧 2019年3月1日
エリア: アジア
泉澤清次・三菱重工次期社長(写真)の行く手には、「老害」がばらまいた爆弾ばかり (C)時事

 

 三菱重工業社長兼最高経営責任者(CEO)の宮永俊一(70)が4月1日付で会長に退き、取締役常務執行役員の泉澤清次(61)が後任に昇格する。

 この人事を発表した記者会見で宮永は、「後顧の憂いはほぼ一掃された」と、自ら手がけた構造改革の成果を強調したが、現実の経営環境は、依然としていつ火の手が上がるか分からない“爆弾”だらけだ。

 来年に控える「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の初号機納入はいまだメドが立たず、南アフリカの火力発電所建設を巡る日立製作所とのトラブルも未解決のまま。中期経営計画で打ち出した「2018年3月期の売上高5兆円達成」は大幅な未達に終わり、2019年3月期予想も4兆2000億円と低空飛行が続く。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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