【再掲】世界に「3つの核超大国」が立つ時代――核廃絶と核抑止の二者択一をどう超えるか
2023年12月28日
核による人類絶滅の恐怖と隣り合わせだった冷戦期は、核戦争に至ることなく終結した。しかし核兵器の脅威はそれで消滅したわけではなかった。核テロリズムが警戒されただけではなく、北朝鮮は核・ミサイル開発を着実に進めてきた。そして、2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争では、ロシアがしばしば核恫喝を行っており、世界は核兵器が使用されるリスクと改めて向き合っている。
世界では冷戦終結後わずか30年足らずで大国間の対立が再燃し、「大国間競争」の時代が到来している。その中で、核兵器を巡る安全保障環境も構造的な変化を遂げつつある。中国が大規模な核軍拡を進めつつあることで、冷戦以来の「2つの核超大国」の時代が「3つの核超大国」の時代へと変容しつつあるのである。この変化はどのような形で起こっているのか、世界で最も厳しい安全保障環境に置かれている日本はどう対応すべきなのか、本稿ではいくつかの論点を検討してみる。
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