
ハリーファ大統領の死去にあたって弔問に訪れたウズベキスタンのミルジヨエフ大統領(中央左)。UAEの再エネ事業者マスダールは、中央アジアを「拡張可能な市場」の一つに位置づけ新規開発を進めている。中央右はUAEのジャーベル産業・先端技術大臣兼アブダビ国営石油会社CEO。同氏はマスダールの会長でもある[2022年5月15日、UAE・アブダビ](C)AFP=時事
フォーサイトに執筆した過去2回の拙稿では、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)の国際的なLNG戦略と国内ガス資源の活用手段について分析してきた。天然ガスに関する取り組みはカーボンニュートラルの潮流によって変化する両国のエネルギー戦略を理解するうえで不可欠な要素であるが、これらに加えて、彼らにとってより革新的な取り組みについても検討を加えなければならない。再生可能エネルギーとグリーン水素の開発である。
サウジアラビアとUAEによる再生可能エネルギー開発に向けた取り組みは、2000年代の急速な経済成長によるエネルギー需要の増大を背景に進められてきた。これらの課題は現在も両国を悩ませており、2023年時点の国内ガス需要はサウジアラビアが世界第6位、UAEが10位と、いずれも産油ガス国であるとともに世界有数のエネルギー消費国となっている。しかし2010年代後半ごろから、両国企業は国内のみならず海外でも再生可能エネルギーやグリーン水素の開発を加速させている。これらの取り組みは国内需要の増大という要因では説明することができず、両国のエネルギー戦略における全く新たな試みであるということができる。
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