日本のインテリジェンス・コミュニティが異例の成果

執筆者:春名幹男 2012年6月14日
エリア: アジア

 「インテリジェンスに関するもので、コメントは控える」と言いながら、藤村修官房長官は表情を押し殺すように、にんまりした。あの顔がすべてを語っていた。日本のインテリジェンス・コミュニティが挙げた異例の成果だったからだ。

 4月15日の金日成北朝鮮国家主席生誕100年の軍事パレードに登場した新型弾道ミサイルの発射台車両が中国から輸出されていたことを示す証拠を日本が掴んでいたことがメディアの報道で明るみに出た。

 パレード後、新型ミサイルと発射台車両をめぐって、専門家が分析結果を公開。新型ミサイルは飛ばない「ハリボテ」であることで多くの専門家の意見がほぼ一致したことは先月のインテリジェンス・ナウ欄で紹介した(5月17日「北朝鮮『ハリボテ』は『見世物』か『開発段階の模擬ミサイル』か」)。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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