【ASEAN】米露を巻き込み「南シナ海死守」を狙うベトナムとフィリピン

執筆者:深沢淳一 2012年11月28日
カテゴリ: 国際

 予想通りの不毛な会議だった。11月中旬にカンボジアの首都プノンペンで行なわれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の首脳会議で、ASEANは議長国カンボジアと、南シナ海で領有権を中国と争うフィリピン、ベトナムとの間に生じた亀裂を修復できず、分裂状態のまま終わった。

ASEANの「内輪揉め」で時間を稼いだ中国

「時間切れ」を狙う中国の戦術は成功した(左からタイのインラック首相、ベトナムのグエン・タン・ズン首相、中国の温家宝首相、カンボジアのフン・セン首相、ブルネイのハサナル・ボルキア国王)(c)EPA=時事
「時間切れ」を狙う中国の戦術は成功した(左からタイのインラック首相、ベトナムのグエン・タン・ズン首相、中国の温家宝首相、カンボジアのフン・セン首相、ブルネイのハサナル・ボルキア国王)(c)EPA=時事

 今年の南シナ海問題での中国とASEANの外相会議、首脳会議など一連のラウンドで、計算通りの「勝ち点」を獲得したのは中国だった。ASEANを内輪揉めの状態にさせて時間を稼ぎ、共産党指導部の端境期という微妙な1年を乗り切った。中国は、南シナ海問題をASEANと正面から議論せず、だらだらと時間切れを狙う戦術を早々に打ち出した。7月のプノンペンでの中国とASEANの外相会議の直前、双方は事務レベルでは、南シナ海での紛争解決方法などを規定した、法的拘束力のある「行動規範」の策定協議を始めることに合意した。だが、直後の外相会議で中国の楊潔篪外相は「時期尚早」だと主張し、その合意を白紙に戻した。  その傍ら、カンボジアはASEANの外相会議で、南シナ海の領土問題を共同声明に盛り込むよう主張するフィリピンと激しい「乱闘」を演じた。故意かトラブルかは不明だが、会議筋によると、フィリピンのデルロサリオ外相が発言している最中、マイクの音声が突然切れたこともあったという。カンボジアのホー・ナムホン外相は、「特定の領土問題をASEAN全体の問題にすべきではない」という主張を崩さず、ASEANは創設45周年の年に、初めて外相会議で共同声明をまとめられない異常事態に陥った。  来年、ASEAN議長国は南シナ海問題の当事国であるブルネイに移り、中国も新指導部体制が始動する。ASEANの身内国からアウェー的な仕打ちを受けたフィリピン、ベトナムは、中国と仕切り直しで臨むことになる。

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