インドで再び議論され始めた「金持ち増税」

執筆者:山田剛 2013年1月14日

 昨年末以降、期せずして「高額所得者に対する増税」が米国や日本、フランス、そしてインドで議論されはじめた。グローバリゼーションが進展し、あの手この手での節税が可能な昨今ではあまり効果が上がらないのでは、という気もするが、ここではまずインドでの事例について考えてみたい。

 インドにおいて、スーパー・リッチと呼ばれる富裕層から高率の所得税を徴収しようという考えは、過去の税制改革論議の中でも何度か提案されてきた。今回、政府経済諮問委員会のランガラジャン委員長は1月5日、現行の基本税率はそのままに、所得が一定レベルを超える富裕層に対して新たな税金を課す考えを表明、「高額所得者は喜んで協力してくれるだろう」と述べた。これによって、インドではにわかに金持ち増税を巡る議論が活発化した。

 2014年春の総選挙を控え、外資規制緩和などで内外投資家の信頼を回復し、再び投資資金を呼び込むとともに、補助金削減などによる財政規律の確立を目指すことは、間もなく10年目を迎えるインド現政権にとって重要かつ緊急の課題だ。昨年には小売市場の対外開放に踏み切り、燃料公定価格の引き上げにも着手し、今年1月1日からは補助金の効率化を目指して貧困層に対する直接払い制度がスタートしている。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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