ヨーロッパでの「日本の風評」――東日本大震災から2年

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2013年3月28日
エリア: ヨーロッパ 日本

  東日本大震災のときの日本人の辛抱強い姿勢は、ヨーロッパに強い感動を与えた。先日、震災2年を機にフランスのリヨン市で行なわれた展覧会では、陸前高田で塩害を受けた畑を利用したレタス工場や、大船渡で瓦礫を資源化したセメント工場などが紹介され、被災地の不屈の取り組みが、訪れる人の賞讃と関心を集めた。

 

「食の安全基準」への疑問

 過去最大74万ベクレルの放射性セシウムが検出されたアイナメ[東京電力提供](C)時事
過去最大74万ベクレルの放射性セシウムが検出されたアイナメ[東京電力提供](C)時事

 しかし、2年が経過した今、日本人の我慢強さがあだになり、もっと政府に怒りをぶつけていいことまで、国民が諦めてしまっているのではという声が聞かれる。特に問題にされるのが「食の安全」だ。3月15日に福島第1原発の港湾内で捕獲されたアイナメから、1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと欧州各紙は報じた。ドイツのディー・ヴェルト紙のウェブ・サイトには、食品安全基準値の7400倍というあまりにも巨大な数字に、「値が大きすぎる。誤報では」と書き込まれたほどだ。この場所で捕獲されるアイナメのセシウム検出量は、発表されるごとに大きくなっているが、なぜこうなるのかという1番欲しい情報はない。日本からの報道では、内部被曝の不安から魚を食べない人、椎茸や海藻を食べない人、全く気にしない人と、日本人の間でも安全基準の考え方が人によってあまりにも違うので、外国人は日本の現状をどう解釈したらよいのか戸惑うようだ。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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