【インタビュー】河田克之(歯学博士) 本当に歯周病を防ぐには

執筆者:中川一徳 2004年12月号

「歯磨きだけでは、歯周病(歯槽膿漏)を防ぐことはできません。ところが、いまだに歯磨き至上主義の“信仰”が歯学界や学校教育でまかり通っています」 こう警鐘を鳴らすのは、兵庫県姫路市で歯科医院を開業する河田克之氏。先頃、二十年余りの臨床経験を元に、いまや国民病ともいわれる歯周病の実態を知らしめ誤解を正すために、入門書(『さらば歯周病』新潮新書)を上梓した。「歯周病は十代後半からはじまって年齢とともに進行、六十歳以上ではほとんどの人にみられます。虫歯と並んで歯の喪失原因の半分を占めるのに、有効な治療法は確立されていません。原因とメカニズムも実はまだ特定されていませんが、私はこう考えています。唾液などから発生した歯石が、歯にこびりつく。歯と歯肉に挟まった歯石は、いわばトゲのように歯肉を刺激し炎症を引き起こすことから病状が始まります」 炎症によって口の中に通常存在する細菌が増殖、さらに炎症を拡大する連鎖反応を招き、やがて歯を支える歯槽骨の破壊に至り、歯が抜け落ちてしまう。痛みなどを覚えた時はすでに手遅れのことが多く、若いうちから総入れ歯という最悪の事態も珍しくない。 原理的には、歯石と細菌が存在しなければ歯周病は防げる。だが、細菌説が重視されすぎた結果が歯磨き信仰へとつながり、歯石の害が軽視されることになった。

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