マカオ「止まらぬ成長」の先の不確定要素

出井康博

 中国やASEAN(東南アジア諸国連合)の経済成長に一服感が出るなか、アジアで唯一、“バブル”を謳歌している都市がある。「カジノ」で有名なマカオだ。2010年から2年連続で20%を超える成長を記録。昨年こそ9.9%まで落ち込んだが、今年に入って再び勢いを取り戻し、3月のカジノの売上高が前年比25%増加、過去最高の39億ドル(約3900億円)に達したのだ。一向に進まない日本のカジノ構想を尻目に、マカオで何が起きているのだろうか――。

 

2億人がテレビ観戦するイベント

 マカオ初のボクシング興行(写真はすべて筆者撮影)
マカオ初のボクシング興行(写真はすべて筆者撮影)

 ラップ混じりの軽快な音楽が大音量で流れるなか、小柄な中国人ボクサーが会場に姿を現した。リングではビキニ姿の女性コンパニオンたちが待ち受ける。上から吊るされた大きなスクリーン、カラフルなライトを使った演出も、まるでプロボクシングの盛んなラスベガスを思わせる。

 4月6日、マカオで初となる大掛かりなボクシングの興行が開かれた。2試合の世界タイトルマッチの後、メインイベントに組まれたのは中国人ボクサー・鄒市明(ゾウ・シミン)のプロデビュー戦だ。新人ボクサーの試合が世界戦の後に組まれるなど異例のことである。しかし、鄒は北京、ロンドンと2大会続けてオリンピックで金メダルを獲得した中国の英雄なのだ。

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執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
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