「人手不足」と外国人 (60)

ベトナム人留学生「違法就労」を美談で糊塗する朝日新聞「配達」の変わらぬ闇(上)

執筆者:出井康博 2021年11月11日
エリア: アジア
アン君の配達は決して“遅く”なかった 写真提供:筆者(以下も)
ベトナム人留学生が支える朝日新聞販売所の労働時間は、在留資格の定める上限を大幅に超える。出井康博氏が何度も指摘してきたこの問題がまったく改善されていないことを示す動画の投稿者に直接取材を行った。

「相思相愛」の強調で隠される「闇」

〈新聞配達でつながったベトナムと日本の絆 いま新型コロナで正念場〉

 そんなタイトルの記事が7月6日、『朝日新聞GLOBE+』に載った。朝日新聞販売所で働くベトナム人の新聞奨学生を取り上げた記事である。

 もともと新聞奨学生は日本人の若者を対象とする制度だが、『朝日』はベトナム人など外国人にも門戸を開いている。記事によれば、『朝日』の販売所はコロナ禍の前、ベトナム人だけで年約300人の奨学生を受け入れていたという。ベトナム人奨学生による新聞配達は、東京都内だけで〈約20万世帯〉に上っている。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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