少し出遅れた慎重派も必読――新NISAで最後に笑うのは誰? 投資信託に向く人、向かない人
「マーケットに一喜一憂しない長期資産運用」で仲介預かり資産1400億円、「日本一頼られているファイナンシャルアドバイザー」福田猛氏が、6000人以上のお金の悩みをサポートしてみえてきた「投資信託に向く人/向かない人」とは? 福田氏の最新刊『この世でいちばん臆病な投資生活』(サンマーク出版)から抜粋・再構成して紹介する。
* * *
私は今まで直接、あるいは間接的に数千人の顧客に資産運用のアドバイスをしてきました。
その経験から、投資信託に向く人と向かない人の傾向があると気づきました。
【向いている人】
(1)臆病な人
臆病な人は投資信託にもっとも向いています。
リスクを恐れて、危ない橋は渡らない。
そのようなタイプは、欲に目がくらみにくいので安定した運用ができます。
(2)面倒くさがりの人
毎日、銘柄の値動きを見て、「今日は売りか、買いか」と判断するのは面倒くさい。投資のための勉強をするとか、お金のために時間を取りたくない、と思っている人は、投資信託との相性はいいでしょう。
投資信託は積み立てで行う場合でも、投資用のお金を毎月口座からの引き落としにして、買った後はほうっておけば、あとは何もすることはありません。月に一度、運用の状況を確認すれば十分です。
(3)コツコツ努力型
地道に努力することを厭わない人も向いています。
たとえば、毎朝ランニングをしている、ジムに週2回通う、英会話の勉強を続けるなど、楽しいだけではない趣味や勉強を何年も続けている方とは、最高の相性です。
投資信託を使った積み立て投資は一度に劇的にお金が増えるわけではありませんし、スリルも少ないものです。それを10年も20年も続けるので、忍耐というほどのものではなくても、持続力や継続力は必要です。
【向いていない人】
(1)ギャンブル好き
手持ちの資金が10万円しかない場合、皆さんはどうしますか?
ありがちなのは、「1、2万円しか増やせなかったら意味がない」と考えてしまうこと。
そういうタイプは10万円を元手に100万円にしようという発想になり、テンバガー(短期間に株価が10倍以上に上がる銘柄)の探し方の本などを読んで、投機に走ります。
これはカジノで大金を一晩で稼ごうという発想と変わりはありません。そういう刹那的に生きている方には、投資信託は退屈でしょう。
(2)短期的思考
専門家に「今だったら、どの銘柄を買ったらもうかりますか?」といった相談をする人は、短期的な思考になっています。
そういうタイプの人は、「1年間で1000万円稼げる」的な謳い文句に弱く、短期間で利益を上げることしか考えられません。本書の臆病な投資を始めても、「全然、もうからないじゃないか!」とすぐにやめてしまう可能性大です。
(3)流されやすい人
「お金は使えば使うほど入ってくる」と自己啓発本に書いてあるのを読んで、それを信じて片っ端からお金を使ってしまう人は、投資信託は向いていないかもしれません。
もちろん、自分への投資もある程度は必要です。
しかし、高額のセミナーをあちこちで受けたり、人脈をつくるために連日のように異業種交流会に参加して散財していたら、結局何も残らないような気がします。
ただし、今までは短期的な視野しか持てなかった方でも、長期的な視野を持てるようになる可能性は十分にあります。
私の経験則では、年齢が高くなるほど固定観念が強くなり、自分の考え方を変えられません。気づくのが早ければ早いほどメンタルも変えやすいし、成功にも近づくことができるでしょう。
どんなニュースにも動じない究極の対処法とは
慎重すぎる人は、最近のニュースを見て、「投資なんてとんでもない」と思っているかもしれません。
ここ数年、「コロナショック」「ウクライナショック」のように、「○○ショック」と騒がれることが立て続けに起きています。イスラエル・ハマスの紛争から「第3次オイルショック」が起きるんじゃないかと言われています。
この「○○ショック」は株価が大暴落して、経済が混乱したときに使われる言葉です。
実は、世界の株式の値動きを調べると、コロナショックの暴落のようなことが、過去60年間で実に13回も起きています。4、5年に一度、オリンピックやサッカーワールドカップくらいのペースです。意外と世間ではショックが起きやすいということですね。
直近では、2018年末は米中貿易摩擦の影響で、3カ月で日経平均株価は5000円以上も下落しました。また2015年には中国株が暴落するチャイナショックが起きました。
2008年はリーマンショック、2000年前後はITバブル崩壊、1991年は日本のバブル崩壊が起きています。
こういった世界の株式市場が大幅下落するときは、平均的に10カ月かけて、25%下落しています。
それでは、「ショック」が起きた後に世界はどうなったのでしょうか?
ショック級の事態が襲っても、世界の株式市場全体では、平均的に株価は「20カ月」をかけて回復しています。回復するまでに一番長くかかったのは、1973年に起きたオイルショックで、このときは株価が底打ちしてから回復するまでにるまでに72ヵ月、つまり6年かかりました。
若い読者はご存じないかもしれませんが、このときはデマによって日本中のお店からトイレットペーパーが消えるほどの大混乱に陥りました。ただそれでも「6年後」には回復しているのだと覚えておいてください。永遠に続くショックはないということです。
したがって、もし今後、想像もしない世界的危機が起こって市場が混乱しても、
「どれだけ落ち込んでも、2年くらい(20カ月)で世界の株価は元に戻る」
と信じましょう。
ダチョウは砂漠で砂嵐に遭遇すると、砂に穴を掘って頭を突っ込んでやり過ごすと言われています。20カ月砂に頭を突っ込むような気持ちで耐えていたら、世界の経済は元に戻っていくでしょう。
投資信託も世界経済にあわせて下落するのは珍しい話ではありません。ですが、2年ほどで回復すると知っておけば、チャートが激しく変動するのを見ても動揺しないでいられるはずです。
……という話を聞いても、「いやいや、そんなに頻繁に暴落するものに投資するなんてあり得ない。何もしないほうがいいんじゃない?」と慎重すぎる人は思いそうですね。
それでは、「暴落したときにたくさん稼げる」と知ったらどうでしょうか?
砂に頭を突っ込んで耐えている最中に、何もしなくてもお金が増える仕掛けが働いて、ゆくゆくは大きくお金を稼げる。そんな奇跡みたいなことが起きるのが投資信託です。
(つづきは『この世でいちばん臆病な投資生活』で)