饗宴外交の舞台裏 (181)

インド首相を“日本づくし”でもてなした首相官邸

執筆者:西川恵 2013年6月12日
エリア: アジア
 乾杯でもシン首相はジュースだった(C)時事
乾杯でもシン首相はジュースだった(C)時事

 インドのシン首相が5月27日から30日まで来日した。日印両首脳は2005年から毎年相互訪問しているが、昨年11月のシン首相の来日は衆院解散で延期になっていた。

 中国の軍事的台頭に懸念を抱く両国は、近年、提携・協力の裾野を広げているが、今回も例外ではなかった。29日、安倍晋三首相とシン首相は会談で、経済、政治・安全保障協力の強化で合意した。

 具体的には、日本からの原発輸出の前提となる日印原子力協定の締結交渉の促進や、海上自衛隊とインド海軍の共同訓練の頻度を高めること、救難飛行艇の対インド輸出に向けて合同作業部会を設置することなどが決まった。ムンバイの地下鉄建設計画に710億円の円借款を供与することでも合意した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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