原発事故「関係者全員不起訴」情報をリークした「検察」の思惑

執筆者:塩谷喜雄 2013年8月15日
エリア: 日本
 逃げるべきではない (C)PANA
逃げるべきではない (C)PANA

 8月9日付の朝日新聞朝刊によると、検察当局は、福島原発事故において業務上過失致死傷などで告訴・告発されていた東京電力幹部と政府関係者全員を、不起訴とする方向だという。事故発生以来の検察の及び腰と、巨大システムのリスク解析能力を持たない科学的後進性を考えれば、不起訴は驚くにはあたらない。むしろ、案の定の「やっぱりね」ではある。

 驚いたのは、明らかな検察の意図的リーク情報を、1面トップでスクープ風に報じた朝日の記事内容と、書きぶりの方である。

 

「朝日新聞」の狙いは世論誘導?

 福島原発事故の刑事責任については、真っ先に、第一義的に議論されるべきは、当事者企業である東電の経営トップと担当者だろう。ところが、朝日の記事では、東電の勝俣恒久前会長、清水正孝前社長と並列かそれ以上の重みを持たせて、菅直人元首相の不起訴を取り上げている。

 事故は純然たる民間企業(当時)の東電が所有・運転していた、商品(電力)を製造する工業プラント=原発で起きた。4つの原発が相次いで致命的に損壊し、外部に大量の放射性物質を放出した。今も約15万人が避難を強いられ、平穏な日常を奪われている。汚染地下水も海に流出し続けている。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、97年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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