「集団的自衛権」容認の先にある難題――日米安保条約改定

柳澤協二
執筆者:柳澤協二 2013年8月15日

 私が現職時代の話だが、防衛官僚が集団的自衛権に関して消極的な一方、外務官僚には、集団的自衛権容認論者が多かった。防衛官僚は外交により多くを期待し、外務官僚は外交の裏付けとなる力を欲しがるからだ。同時に、外務官僚は安保条約改定論議を嫌がる傾向にある。地位協定の見直しもからんで反基地闘争に火が付き、国会をデモ隊が包囲した60年安保の混乱の再来が予想される厄介な問題である。

 自民党も安倍政権も、閣議決定によって憲法解釈を変更したうえで「安全保障基本法」を制定して「国内法」のみで決着させ、日米安保条約の改定は全く考えていないようだが、もしそうだとすれば、その手法は大きな間違いだ。

 集団的自衛権とは、相手との合意があって成立する概念だ。防衛が国家主権発動の最も強力な形態である以上、求められてもいないのに他国の防衛に加担すれば、それは違法な武力行使とならざるをえない。したがって、集団的自衛権によって防衛すべき相手方との合意が必要となる。それが「相互防衛条約」である。

 日米安保条約第5条では「日本の施政権下のある地域におけるいずれか一方への攻撃に対する共同防衛義務」が定められている。これが、集団的自衛権容認論者の言う「アメリカは日本を守るが日本はアメリカを守れない」という「同盟の片務性」の根源である。

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執筆者プロフィール
柳澤協二
柳澤協二 国際地政学研究所副理事長。1946年東京都生れ。70年東京大学法学部卒業後、防衛庁入庁。長官官房長、防衛研究所所長などを歴任。2004年4月から09年9月まで官房副長官補。
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