インテリジェンス・ナウ

シリアの「サリン使用」詰め切れず――米英仏の報告書は疑問だらけ

執筆者:春名幹男 2013年9月19日
 8月26日、シリアの化学兵器使用疑惑を調査するため、首都ダマスカスのホテルを出発する国連調査団の車列 (C)EPA=時事
8月26日、シリアの化学兵器使用疑惑を調査するため、首都ダマスカスのホテルを出発する国連調査団の車列 (C)EPA=時事

 シリアでサリンが使用され、罪のない女性や子供を含む多数の死者が出た。

 その事実には疑問を挟む余地はないだろう。現場のビデオ画像から、着弾したミサイル弾頭に爆発した形跡がないこと、被害者に呼吸困難などサリン特有の症状が見られることが伝えられている。

 しかし、アサド・シリア大統領自身またはその代理人がどのような動機でサリン攻撃を命令し、どの部隊が、どのような運搬手段を使って、なぜサリンを撃ち込んだのか、未確認のままだ。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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