台北故宮の日本展で浮上した「國立」という名称問題

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2013年10月26日
エリア: 中国・台湾

 来年日本で開かれる台北故宮の展覧会のため、台北の故宮博物院と、東京国立博物館、九州国立博物館による調印式が今月16日、台北で行なわれた。新聞を中心に各メディア大きなスペースを割いて報道したので、そのニュースを目にした方も多かったと思う。

 ただ、この報道のなかで、いささか奇妙な点があったことに気づいた方はどれぐらいいただろうか。

 それは、展覧会の名称である。今回の展覧会の名称は「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」。しかし、各メディアの報道は「台湾の台北・故宮博物院展が開かれる」となっている。一方、日本の新聞社には自社主催のイベントをやる前には紙面で社告によってその内容を告知する習慣がある。一部メディアの社告では「國立故宮博物院」という表現が使われていた。

 読売新聞の17日付け朝刊21面の特設面につけられた展覧会の社告の下に、こんな「おことわり」があった。

「社告にある故宮博物院の表記は、東京国立博物館、台北の故宮博物院、日華議員懇談会が決めたものです。台湾に関する本紙の編集方針に変わりはありません」

 産経新聞も同じ日の16面の特設面の社告横に「おことわり」を掲載し、「展覧会名は公式名称を表記しています」としている。新聞社にとって「おことわり」を出すというのは比較的重要なケースにおいて取られる対応である。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
comment:1
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順