エジプトの軍と過激派との全面衝突は「自由からの逃走」を加速させるか

池内恵
執筆者:池内恵 2013年12月25日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東

 12月24日早朝にエジプト北部ダカハリーヤ県の県都マンスーラの県警察本部前で大規模な自動車爆弾が爆発した。15人死亡・134人負傷、といった報道が流れている。アラブ諸国の中で安定の礎となってきたエジプトがテロと武力弾圧の応酬に陥れば、中東の不安定化は極まる。

 エジプトの混乱はこれまでシナイ半島北部に限定されてきたが、これがスエズ運河を超えて、エジプトのいわば「本土」つまり、人口密集地のナイル・デルタ地帯(今回の事件の起きたダカハリーヤ県を含む)に及ぶという方向性が、容易に覆し難くなってきている模様だ。エジプト「本土」への混乱の拡大の兆候は、9月5日の内相暗殺未遂事件の際に本欄でも記しておいた(2013年9月6日「エジプト内相暗殺未遂事件の深刻さ」)。その後相次いで同様の事象が生じていた。今回はその中でも最大の規模であり、政治的に大きな帰結をもたらしかねない。

「アンサール・バイトル・マクディス(聖地エルサレムの支援者たち)」の犯行声明

 内相暗殺未遂事件で犯行声明を出したのが、アンサール・バイトル・マクディス(聖地エルサレムの支援者たち)を名乗る武装集団だった。22日にはエジプトの軍・警察との全面対決を宣言する声明を出していたため、今回の事件もこの集団の犯行かとの観測が高まる。24日午後には今回の事件への犯行声明が出たという報道もある。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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