タイ反政府運動の「巨額資金源」浮上で見えてきた混乱の行方

樋泉克夫

 4月中旬 に行われるタイ版の正月ともいえる「ソンクラーの水かけ祭り」が終わると、5月初めのピークに向け、暑さはいよいよ本格化する。そのソンクラー前後、タイ政局は大きく動くという噂が、バンコクでまことしやかに流れている。

 インラック政権が進めて来た農家からのコメの高価買い取り制度が事実上破たんしたと認定し、国家汚職防止取締委員会が首相の職務怠慢と断定、首相失職宣言を下すというのだ。この処置に反発し、タクシン派の赤シャツ集団が街頭行動に出る可能性は高いが、国軍が介入し、民主党を説得したうえで総選挙に参加させ、再選挙実施に持ち込むというシナリオだ。だが、再選挙をしたとしても、タクシン派優位の全国選挙区事情が直ちに崩れる要素がみられない以上、極めて高い確率で、元の木阿弥状態に落ち着いてしまいそうだ。

 やはり、混乱の再燃は必至というべきだろう。とどのつまりは、タクシン派、反タクシン派のどちらか一方の“闘争資金”が枯渇しない限り、闘い、つまり混乱は続くと考えられるのだ。

 

反タクシン派「支援企業リスト」

 1月から2月にかけての反タクシン派の激しい街頭行動には、1日当たり1000万バーツ(約3200万円)の活動資金が使われている、というのが当時の地元メディアの見方だった。活動資金の出所を捜査すべく、インラック政権は司法省特別犯罪捜査局を動かし、その結果を政府治安維持センターが2月11日に発表する予定だった。だが、なぜか直前になってキャンセルされてしまった。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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