尖閣「武力奪取」を明言した中国国防相

執筆者:春名幹男 2014年4月23日
エリア: 北米 アジア

 中国は、沖縄県尖閣諸島を武力で奪取する軍事作戦計画を策定したようだ。

 ヘーゲル米国防長官が今月上旬に訪中して、常万全中国国防相と会談した後の記者会見で、常国防相は質問に答えて、尖閣問題について次のように述べた。

「党と人民の要請を受けて、中国軍は直ちに集結し、(現地に)到着するや直ちに戦い、いかなる戦闘にも勝利する」

 中国共産党の命令があれば、明確に「戦い、勝つ」と宣言した発言だった。数年前、日本では尖閣諸島が中国の「核心的利益」かどうかが注目された。核心的利益であれば、中国は武力を行使するとみられる――という論理だった。しかし、今度は中国国防相が米国防長官の目の前で、武力行使を明言した。中国側は明らかに態度を先鋭化させている。尖閣諸島問題は新たな段階に入った、とも言える。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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