人権派メルケルの登場で冷え始めた独露関係

2006年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ ロシア

 史上最良といわれた独露関係の風向きが、人権重視のメルケル独新政権の登場によって変わりつつある。 ロシア外務省は三月末、ベルリンにある旧ソ連軍記念碑が何者かに冒涜されたとしてドイツに抗議する声明を出し、「前例のない破損行為で正当化できない」と批判した。この記念碑はこれまでも何者かにペンキを塗られたことがしばしばあったが、ロシアが抗議声明を出すのは異例のことだ。 メルケル首相は一月中旬に初めて訪露した際に、ドイツ大使館に人権活動家らを招き、「ロシアの強権的政治体制を憂慮している」と述べ、連帯を表明した。さらに首脳会談後の共同会見でも、チェチェンでの人権弾圧を批判し、隣にいるプーチン大統領を刺激した。 プーチン大統領と異様に緊密な盟友関係にあったシュレーダー前首相は、ロシアの嫌がるテーマには決して言及しなかったが、メルケル首相は真っ向からロシアの人権問題に切り込む構えだ。仏独露三国の「反米首脳会談」はもう開かれそうにない。“欧州最後の独裁者”ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は三月の大統領選後、「ドイツの選挙干渉」を批判し、第二次大戦中のドイツの残虐行為に暗に言及した。ルカシェンコ大統領を“擁護”するロシアも歩調を合わせ、今後ドイツの干渉に反発し、「大戦の記憶」に言及する可能性がある。

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