饗宴外交の舞台裏 (194)

外交官が堪能した「日本ワイン」と「和食」の奥深さ

執筆者:西川恵 2014年7月16日
 日本のワインに関心を深めたグルジア大使(筆者撮影、以下同)
日本のワインに関心を深めたグルジア大使(筆者撮影、以下同)

 和食や日本ワインへの関心が日本に在勤する外交官の間で広がっている。それも単に食べる、飲むだけではなく、さらに踏み込んで和食の実演やワイナリーを見てみたいというのだ。最近あった2つの話を紹介しよう。

 

世界最古「8000年」の歴史

 グルジアのレバン・ツィンツァゼ駐日大使(45)が日本の外交官数人と6月上旬、山梨県の勝沼醸造(甲州市勝沼町)を訪れた。日本ワインの現場をこの目で見るためである。

 物理学者で、かつて日本の大学でも客員教授として教えたことのある大使が日本に赴任したのは今年2月。日本のワインに関心をもったきっかけは、最近、日本の外交官と食事をした時、ワインに詳しいこの外交官が持参した日本ワインだった。日本固有の甲州種の白ワイン。大使はいたく気に入り、その場でこのワインを造っている勝沼醸造を訪問することが決まった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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