中国を揺さぶる「香港」「台湾」民主への問題提起

川島真
執筆者:川島真 2015年1月2日
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中国・台湾

 2014年12月19日、中国の習近平国家主席は夫人を伴ってマカオを訪問した。1999年にポルトガルから中国に返還されたマカオの、返還15周年記念行事などをおこなうためである。

 

習近平マカオ訪問の意味

 ここで習近平は、1国2制度とマカオ特別行政区基本法の意義を再確認し、返還の成果を強調してみせた。1国2制度というのは、中国の中に2つの制度、つまり社会主義制度とそれ以外の制度があることを指す。その社会主義制度とは異なる制度が適用されているのは香港とマカオ、そして将来の台湾だというのが中国の立場である。だが、中華人民共和国の一部となった香港とマカオの制度がまったく同じと言うことでは無く、1国2制度の「2」というのは社会主義制度以外の「X」という複数形だということになる。

 マカオは99年の返還後、経済成長が著しく、また返還以前から「中国化」が進行していたために、北京から見れば社会主義制度外の地域としては優等生である。2014年には香港で傘がシンボルの“オキュパイ(占中)”と言われる、学生を中心とする運動がおき(“雨傘革命”とも言われる)、また中国からの影響が強まっている台湾では“ひまわり学生運動(太陽花学運)”という学生運動が起きたが、マカオではそうした運動はほとんど起きていない。習近平がこの地を訪問した意味がうかがえるであろう。

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執筆者プロフィール
川島真
川島真 かわしま・しん 東京大学総合文化研究科准教授。専門はアジア政治外交史、中国外交史。1968年東京都生まれ。92年東京外国語大学中国語学科卒業。97年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学後、博士(文学)。北海道大学法学部助教授を経て現職。世界平和研究所上席研究員、nippon.com編集長、内閣府国家安全保障局顧問などを兼任。著書に『中国近代外交の形成』(名古屋大学出版会/2004年)『近代国家への模索 1894-1925』(岩波新書 シリーズ中国近現代史2/2010年)など。
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