インテリジェンス・ナウ
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米・キューバが成功させた「精子外交」:ロシアの情報基地化に先手か

春名幹男
執筆者:春名幹男 2015年1月20日
エリア: ロシア 中南米 北米

 米国とキューバの国交正常化交渉。米国際開発局(USAID)の請負会社の仕事をしていた米国人男性、アラン・グロス氏(65)がキューバで釈放され、帰国したのを受けて、両国首脳が同時に、正式に発表した。グロス氏は2009年にキューバに衛星通信機器を持ち込んでスパイ罪で逮捕され、懲役15年の禁錮刑を受け、服役していた。

 この外交劇。米国で捕まった3人のキューバスパイとキューバで拘束されていた1人の米側スパイの交換で成立したもので、グロスさんはその中に含まれず、「人道的釈放」だった、と米側は説明している。日本のメディアは発表通りに報じたが、そもそも米政府機関が下請け会社を使ってそんな仕事をキューバで行うこと自体、極めて不自然だ。

 カストロ兄弟らによるキューバ革命以来、米国は「葉巻に毒薬をしみこませる」「貝殻に爆薬を仕込む」といった方法でフィデル・カストロ前国家評議会議長を暗殺する工作のほか、各種の政権打倒工作まで、多くの秘密工作を展開してきた。マイアミに設置した米中央情報局(CIA)の前線本部には一時「800人を超える工作員を配置していた」と元CIA高官は教えてくれた。実は、冷戦終結後も、米国はひそかに「民主化工作」などを続けていたのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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