新党首「朱立倫」は国民党の救世主になれるか

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2015年1月22日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 中国・台湾

 台湾の与党・国民党に、新しい党主席が誕生した。朱立倫・新北市長である。馬英九のあとを担う国民党の新世代リーダーといわれて10年。53歳という脂の乗り切った年齢でようやく出番が到来と思ったら、かなり厳しい局面での登場となった。心中、さぞ複雑なことだろう。いま、大きな問いが朱立倫には向けられている。それは「国民党の救世主になれるか」ということである。

 それはとりもなおさず、5月には決めなくてはならない国民党の総統候補に朱立倫がなるのかどうか、という問題に帰結する。

 

火中の栗は拾わず?

 1月19日、正式に党主席に就任した朱立倫は、さっそく就任演説で中台関係について、「両岸(中台)関係の急速な発展のなかで、お互いの社会構造の大きな違いから生まれる心理的な部分での影響や、経済交流のなかの不公平な利益配分について、真剣に厳格に向き合わないといけない」とし、馬英九政権下での中台関係の速すぎる接近が社会の不満を呼んでいる世論を意識して見せた。馬総統のメンツをつぶしかねない話をさらっと語ってみせるところが朱立倫の上手いところだ。

 朱立倫がなぜ次の指導者に早くから有力視されていたのかは、ひとえに、その優秀さと血統の良さによる。年齢は馬英九総統より11歳若い。「最も若い立法委員」「最も若い県長(知事)」など、常に政界の記録を塗り替えてきた。選挙では立法委員、桃園県長、新北市長と負け知らず。さらに、父親は大陸から渡ってきた外省人だが、母親は地元・桃園の名家出身の本省人で、子供のころから台湾人社会の中で育ったので、馬総統と違って台湾語も流暢だ。妻の高家は台南の政治家一族で、南部の本土派にも地盤を持つ点も有利だ。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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