全中国を震撼させたPM2.5「告発ドキュメンタリー」

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2015年3月2日
エリア: 中国・台湾

 春節(旧正月)のさなかの2月28日、突然、中国のPM2.5(微小粒子状物質)問題を告発するドキュメンタリー映像『穹頂之下(天空のもとで)』が中国の主要ニュースサイトなどで公表され、2日間で1億回を超えるとも言われる桁違いの再生回数を記録し、春節気分を吹き飛ばして中国全土を震撼させた。政府機関や大企業の実名も挙げながら中国の大気汚染問題を批判している内容で、中国の言論界は「快挙」の声で埋め尽くされた。

映像紹介サイトはこちら

 

制作費2000万円は自己負担

 本来は3月3日の開催を控えた「両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)」の話題で一色になるはずの中国で13億人の関心を独占した形になったが、その理由は、内容もさることながら、ドキュメンタリーを発表したのが、元中央電視台(CCTV)の人気女性キャスターでベストセラー作家でもある柴静氏(39)だったこともある。

 中国の環境保護部長(環境大臣)に就任したばかりの陳吉寧氏はさっそく柴静氏に感謝のメッセージを携帯メールで送ったとも言われる。ところが、3月1日夜までに当局から各メディアやニュースサイトなどに、このドキュメンタリーに関する内容を削除するよう指示があったという情報が流れた。実際、2日昼の時点で一部のサイトからは論評やドキュメンタリーへのリンクが姿を消しているが、まだ残しているサイトも多い。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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