アジアまでも席捲するEUスタンダード

執筆者:加瀬友一 2008年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

五億人の市場を背景に様々な「国際規格」を作り出すEU。その巧みな通商戦略で、「国際標準戦争」の主導権を完全に握ってしまった。 高速道路の料金所を止まらずに通過する光景は、日本の国内ではもう珍しくない。自動料金収受システム「ETC」が、車載器の価格低下や通行料の割引制度のお陰で、ここ数年で急速に普及したためだ。年末年始の帰省ラッシュも、例年より緩やかだった。「平和」という言葉すら連想させるこの風景に、実は日本の産業界の重大な“危機”が潜んでいるとは、誰も気づくまい。 昨年十二月十四日からの一週間の日本全国の集計では、ETC利用率は七二%。二〇〇一年の利用率がわずか〇・九%だったことを考えると、驚異的な伸びである。一度、味を占めれば、二匹目のドジョウを探したくなる。車載器や検知器、集計システムなどを製造する日本企業が、一斉に新興国や途上国に目を向けたのは当然だろう。 巨大な市場が目の前にある。勢いよく経済成長を続け、インフラ整備を競い合うアジアの国々だ。中国やインド、工業化を急ぐASEAN(東南アジア諸国連合)各国では、ETCの普及が始まったばかりだ。 日本の企業戦士たちは、庭先とも呼べるアジア各地を、大手を振って闊歩してきた。ETCでも、遠方の米欧企業が日本に太刀打ちできるはずはない――。松下電器産業や三菱重工業など有力ETCメーカーは、そう高をくくっていた節がある。だが、その読みは完全に誤っていた。

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