インテリジェンス・ナウ

新しい秘密連合の時代――特殊部隊・秘密工作中心の米戦略で

オバマ氏の”盟友”の1人、トルコのエルドアン首相(左)(C)EPA=時事
オバマ氏の”盟友”の1人、トルコのエルドアン首相(左)(C)EPA=時事

 オバマ米大統領が年明け、米週刊誌タイムとのインタビューで、「友情と信頼の絆を築いた」外国指導者として挙げたのは、メルケル・ドイツ首相、シン・インド首相、李明博韓国大統領、エルドアン・トルコ首相、キャメロン英首相の5人だった。  これら各国首脳に尋ねてみれば、「米国大統領を強く信頼していると言うだろう……彼らとは多くのことを成し遂げたからね」とまで大統領は豪語した。  実はこれら諸国は、オバマ米大統領が極秘裏に新たに構築しつつある秘密工作のネットワークと重なり合っている。  年初に発表した軍事戦略の大転換で、米国はイラクやアフガニスタンのような規模の地上戦闘はもうやらない。向こう5年間で国防予算約20兆円を削減する。しかし、その代わり偵察衛星やミサイル搭載の無人偵察機を活用して、特殊部隊や米中央情報局(CIA)による秘密工作を強化する。そのために、新たな秘密工作のネットワークが必要になった。  経済分野では機能しなくなった主要国首脳会議(G8)に代わって20カ国・地域(G20)首脳会合が設けられた。同様に、新たな安保情勢は従来の同盟関係では対応しきれなくなり、新たな秘密連合が形成されつつあるということだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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