米世論「同性婚容認」に「共和党」はどう対応するか

執筆者:足立正彦 2013年7月16日
エリア: 北米

 米連邦最高裁は6月26日、同性婚の権利を認め、結婚を1人の男性と1人の女性とのものと規定した連邦法「1996年婚姻防衛法(DOMA)」について違憲判決を下した。また、同性婚を禁じるカリフォルニア州の法律は違憲であるとの連邦高裁判決を支持する判断を下し、その結果、カリフォルニア州での同性婚も再開されることになった。米連邦最高裁は非常に重要は判決を下した。

「1996年婚姻防衛法」については、ビル・クリントン大統領が1996年大統領選挙での再選を目指していた同年5月に米議会に法案が提出され、共和党候補であったボブ・ドール上院議員(カンザス州)との大統領選挙キャンペーンが本格化した同年9月にクリントン大統領の署名を受けて成立している。大統領選挙の年に同法の成立を図ったキリスト教右派勢力をはじめとする社会的保守派勢力の政治目的が達成されたのである。また、当時は、同性婚に対する米世論の理解は広がっておらず、実際、同法成立当時、全米50州のいずれの州でも同性婚の権利は認められていなかった。だが、現在では、北東部や中西部を中心とする12州とワシントンDCで同性婚が認められている(同性婚を明確に禁じている州は35州)。特に、今年に入ってからは、メリーランド州、ロードアイランド州、デラウェア州、ミネソタ州の4州で同性婚を容認する法案が州議会で可決され、それぞれの州知事の署名を受けて成立しているのである(ロードアイランド州、デラウェア州、ミネソタ州は今月から来月にかけてそれぞれ発効)。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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