「少子化」という言葉が国民生活白書に初めて登場してから今年で十五年、「少子化の流れを変える」と政府が宣言してから三年が経過する。一九九〇年の「一・五七ショック」以降、政府は実に多様な対策を検討し実行に移してきたが、その間も日本の合計特殊出生率は低下し続け、ここ数年は一・二台という国際的に見ても極めて低い水準で推移している。これまでの対策が、出生率の反転や下げ止まりに繋がらなかった要因は二つあると常々考えている。ひとつは、家族政策や少子化対策に配分される財政規模の問題。もうひとつは、政策を強力に推し進めることに対する国民的な合意が未だ完全には成立していないことである。

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