主要メディアではほとんど報じられなかったが、4月18日から4日間、沖縄県の翁長雄志知事が台湾を訪問し、港務関係の覚書を交わすなど、沖縄と台湾との間の経済交流強化をアピールした。その直前の訪中が対照的にロー・プロファイルに徹したものだっただけに強い印象を残した。現在、沖縄県は日本政府と普天間基地の辺野古移設をめぐって深刻な対立を抱えているなか、沖縄県がいま台湾との関係を強化することは何重もの意義を見いだせる「好手」で、今後の沖台関係は注目に値するだろう。

 

乏しかった感情面でのつながり

 奄美諸島から始まる「琉球弧」は、ゆるやかにカーブを描きながら最終的には台湾にたどりつく。沖縄と台湾は地理的に見ればまるで一体のような関係にある。しかし、長らく沖縄と台湾のつながりが深まることはなかった。

 歴史的には、琉球文化は日本文化の一枝に属するもので、中国からの影響は強かったものの、本質的な言語や民族としては日本と最も近い。一方、台湾は南洋文化の土台に漢民族文化が重なった文化構造を持っており、沖縄と台湾は、八重山・宮古諸島を一種の緩衝帯として、異なる文化圏に属していた。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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