沖縄と台湾は近づけるか

執筆者:野嶋剛 2015年4月30日
エリア: アジア

 主要メディアではほとんど報じられなかったが、4月18日から4日間、沖縄県の翁長雄志知事が台湾を訪問し、港務関係の覚書を交わすなど、沖縄と台湾との間の経済交流強化をアピールした。その直前の訪中が対照的にロー・プロファイルに徹したものだっただけに強い印象を残した。現在、沖縄県は日本政府と普天間基地の辺野古移設をめぐって深刻な対立を抱えているなか、沖縄県がいま台湾との関係を強化することは何重もの意義を見いだせる「好手」で、今後の沖台関係は注目に値するだろう。

 

乏しかった感情面でのつながり

 奄美諸島から始まる「琉球弧」は、ゆるやかにカーブを描きながら最終的には台湾にたどりつく。沖縄と台湾は地理的に見ればまるで一体のような関係にある。しかし、長らく沖縄と台湾のつながりが深まることはなかった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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